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23.戴冠式の日

ผู้เขียน: 杵島 灯
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-15 13:07:49

 ジゼルの戴冠式が間近となった。

 普段は宝物庫にしまわれている宝冠や王笏などが磨きに出され、大聖堂が華やかに飾られる。

 初夏のこの時期、用意される花々は冬の葬儀とはまた違うものばかりであり、そのせいか同じ場所であってもあの悲しい空気は微塵も感じさせない。

 諸外国からも式に列席する賓客が続々とやってきた。今回はその中の一人にジゼルの婚約者候補となる王子がいる。

 相手国とは書面や肖像画のやりとりを何度もすませてきた。今回の式の前にジゼルと王子が顔合わせを行い、なんの問題もなければジゼルの正式な即位に続いて婚約も公になる予定だった。

 王子はジゼルの一つ年下の十五歳。

 絵で見る王子は細めの体つきと、利発そうな顔立ちをしている。

 果たして実際に会う王子はどのような人物だろうかと皆が噂しあっていた。

 しかし当の国から代表としてやって来た人物は恰幅の良い老齢の男性で、王子の風貌とは似ても似つかない。

 これはどういうことなのかと困惑するジゼルや花の国の高官たちに向けて、遠国から来た男性は深々と頭を下げる。

「お初にお目にかかります。私はかの国で宰相の役職をいただいている者にございます」

「事前の連絡と違いますわね。王子はどうなさいましたの?」

「それが……」

 宰相が語った内容はジゼルたちを唖然とさせるものだった。

 なんとジゼルの婚約者候補となっていた第三王子は、帝国の貴族令嬢と婚約をしたというのだ。

「女王陛下をはじめ、花の国の皆様方におかれましてはご不快に思われるであろうこと、重々承知しております。ですが帝国側から強く『婚約を』と言われた我々の立場も汲んでいただき、どうかお許しを願えませんでしょうか……!」

「何を勝手なことを!」

「それで道理が通るとお思いか!」

「おやめなさいな」

 色めき立つ高官たちを片手を上げて制止したジゼルは、宰相の後ろ頭を見ながら小さく息を吐く。

 確かに、ジゼルやジゼルの国が蔑ろにされたと怒りを覚えて良い話だ。

 しかし一方で、相手がこの大陸で最大の版図を誇る帝国の高位女性であるのなら仕方ないかもしれないと考えてしまう。

 何しろ王子の国だって大きいわけではないのだ。あの強大な帝国にはどう足掻いても敵わない。帝国側から「どうしても」と持ち掛けられた縁談を蹴って機嫌を損ねさせてしまうのは怖いだろう。

 ――それによく考えずとも、
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     死者を悼む儀式も|恙無《つつがな》く終わった。国は未だ深い悲しみの中にあるが、生きているものたちは先へ進まなくてはいけない。 第一王位継承者であったジゼルが十六の誕生日を迎えた春の日に「女王の戴冠式が二か月後に行われる」と発表されたのは人々の暗かった心に明かりを灯す出来事だった。 しかしジゼルが誕生日に行ったのはそれだけ。いつもなら、生誕の祝いとして催されている祭りにジゼルが顔を見せたり、王家から蜂蜜酒が振舞われたり、王城で夜会が開かれたりするのだが、今回はそういった特別な出来事は一切なかった。「仕方ないよ。先王陛下が亡くなられたのは先月だ。ジゼル様がそんな気分になられないのも当然さ」「代わりに二か月後の戴冠式では、うんとお祝いして差し上げよう」「その頃はうちの花壇の花がとても綺麗に咲いてるはずだから、籠に入れてお城へお届けするわ」 人々は寂しい心を埋めるかのように楽しい話を繰り返す。 王宮内でも同じことは起きていた。戴冠式の触れを聞き、召使たちはジゼルや王宮内をどのように飾るかの話でもちきりになっている。それに少しばかり釘を刺すようなことを言ったのは、女王となる当のジゼルだった。「そんなに立派にしなくていいわ。でないと国庫管理係たちの頭が禿げ上がっちゃうでしょ」 ジゼルが言うと、侍女頭は「ですが」と顔を曇らせる。「他国からの賓客もお見えになるのですし……」「そうは言っても、うちの国はあんまり豊かじゃないもの。とりあえず王宮は花で埋めて、私自身の飾りつけに関しては手持ちの……アクセサリーにはあんまり見栄えするものが無いから、歴代女王や王族女性が使用した品の中に良さそうなものがないか調べてちょうだい。それを繕ったり磨いたりして使えばいいわ」「殿下……いえ、女王陛下。ですが、さすがに」「いいのよ」 笑顔で、しかし有無を言わせぬ調子でジゼルが言い切ると、侍女頭は何かを言いたそうな表情ではあったが黙って頭を下げる。 さすがに悪かったかと考えたジゼルは少し考えて口を開いた。「綺麗な宝飾品やドレスは人目を引くかもしれないけど、それが全てじゃないでしょう? 化粧や髪結いの技術だって同じことだもの。あなたちなら高価な宝石なんてなくたって、私を綺麗にしてくれると信じてるわ」 顔を上げた侍女頭は目を見開いた。続いてぐっと腹に力を入れ、今度は驚くほど

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